- 0. はじめに
- 1. 自己破産は恥ずかしいものではない
- 2. 実は多くの人が自己破産を選択している
- 3. 自己破産が周囲にバレる可能性は極めて低い
- 3-1. 知人や勤務先に知られることは稀
- 3-2. 戸籍を見ても破産したことはわからない
- 4. 自己破産による日常生活へのダメージは大きくない
- 4-1. 一部の職業を除き仕事を失う可能性は極めて低い
- 4-2. 財産すべてを失うことはない
- 4-3. 選挙権を失うことはない
- 4-4. 引越しや旅行ができないわけではない
- 5. 自己破産は債権者にとって必ずしも迷惑とは限らない
- 5-1. 損金経理で税負担を軽減できる
- 5-2. 換価された分が債権者に支払われる
- 6. 自己破産以外の選択肢もある
- 6-1. 任意整理
- 6-2. 個人再生
- 7. 自己破産を選ぶ理由と向いている人
- 8. 自己破産をするなら弁護士を味方に
0. はじめに
借りたお金を返済できないことに対し、「計画性がない」、「甲斐性がない」、「不真面目」など、マイナスなイメージを持つ人は多いかもしれません。
そのため、借金の返済が困難なものの、自己破産をすることは恥ずかしいと考え、手続きをためらう人もいるのではないでしょうか。
しかし、借金に苦しむ生活から抜け出すために、自己破産はぜひ検討するべき手段であり、決して恥ずかしいものではありません。
このコラムでは、自己破産することが恥ではない理由や、弁護士に手続きを依頼するメリットなどを分かりやすく解説します。
借金問題を解決し、人生をリセットさせるためにも参考にしてください。
1. 自己破産は恥ずかしいものではない
自己破産とは、裁判所で手続きを申し立て、免責が認められると借金の返済義務が免除される制度です。
借金を返済できない負い目などから、自己破産することを恥ずかしいと考えたり、人生に負けたと感じたりする人もいるかもしれません。
自己破産は借金の返済が難しく、生活苦に陥った場合に人生をリスタートさせるための制度です。
法的なルールに従って手続きをして、裁判所に免責を認めてもらう制度であり、いわば、すべての国民に法律で認められた正当な権利です。そのため、決して恥ずかしいと感じる必要はありません。
また、周りに自己破産したことがある人がいない、知人にバレるかもしれないといった理由から手続きをためらう人もいるでしょう。
安心して手続きを進めるためにも、自己破産を恥ずかしいと感じる必要がない理由を説明していきます。
2. 実は多くの人が自己破産を選択している
「自己破産をする人なんてほとんどいない」と考える人もいるかもしれませんが、実はそうではありません。
裁判所の司法統計(2022年版)によると、2022年に裁判所が自己破産を新規に受理した件数は「6万4,833件」でした。
自己破産を申し立てて、借金問題を解決しようとする人は決して少なくないのです。
3. 自己破産が周囲にバレる可能性は極めて低い
自己破産を周囲に知られることが恥ずかしいと感じるかもしれませんが、知人など周囲の人にバレる機会はほぼありません。
3-1. 知人や勤務先に知られることは稀
お金を借りている、保証人になってもらっているといった事情がなければ、知人に自己破産を知られる可能性は低いと考えてよいでしょう。
破産したことは官報や破産者名簿に記載されますが、一般の人が目にする機会はほとんどありません。
また、生命保険の募集人や警備員など、制限を受ける職種に就いている場合や、日常的に官報をチェックする職場でなければ、勤務先にバレることもないでしょう。
家族についても、同居していなければバレる可能性は低いです。
ただし、同居している家族については、裁判所から同居家族の収入の証明を求められた場合や、車や自宅などを手放す場合などに、バレる可能性があります。
3-2. 戸籍を見ても破産したことはわからない
破産した事実は、戸籍や住民票に記載されないので心配は不要です。
結婚や就職、転職など、戸籍や住民票が必要になるさまざまな場面で書類を取得しても、自己破産がバレることはありません。
4. 自己破産による日常生活へのダメージは大きくない
自己破産をした後は非常に不便な生活を送ることになると考え、恥ずかしいと思う人もいるのではないでしょうか。
職業制限を受ける、価値のある財産を処分する必要があるといったデメリットもありますが、必ずしも不便な生活を強いられるわけではないのです。
- 一部の職業を除き仕事を失う可能性は極めて低い
- 財産すべてを失うことはない
- 選挙権を失うことはない
- 引越しや旅行ができないわけではない
4-1. 一部の職業を除き仕事を失う可能性は極めて低い
自己破産をしたからといって仕事を辞める必要はありませんし、基本的に解雇されることもありません。
ただし、生命保険の募集人や警備員など、制限の対象となる職業の場合、業務を行うことができません。
職場に自己破産することを伝え、一定期間、資格が不要な別の業務に変更してもらうなどの対応が必要です。
4-2. 財産すべてを失うことはない
自己破産をすると自動車や自宅など、価値のある財産を処分する必要がありますが、何もかも手放すことになるわけではありません。
自己破産の手続き後も残せる財産を「自由財産」と呼び、99万円以下の現金や、生活に必要な衣類や家具などが該当します。
自己破産の手続開始後、新たに取得した財産や、振り込まれた給与賞与、退職金なども自由財産の対象です。
4-3. 選挙権を失うことはない
選挙権や被選挙権(立候補する権利)は、日本国憲法で認められた国民の大切な権利です。自己破産をしたり、手続き中だったりしても、権利を失うことはもちろん、制限されることもありません。
4-4. 引越しや旅行ができないわけではない
破産手続きの最中は、原則として自由に引越しや旅行をすることはできません。
ただし、絶対にできないわけではなく、裁判所から許可を得れば、引越しや旅行が認められます。手続きが完了した後は、自由に行うことができるようになります。
5. 自己破産は債権者にとって必ずしも迷惑とは限らない
自己破産をすることで、借金の返済義務がなくなるため、債権者に大変な迷惑をかけてしまうと考える人もいるでしょう。
しかし、いつまでも借金が返済されないよりも、債務者が自己破産した方が債権者にとってもプラスに働く可能性があり得ます。
5-1. 損金処理で税負担を軽減できる
自己破産が行われると、金融機関にとっては返済されなかったお金は貸し倒れとなってしまいます。
しかし、自己破産により貸し倒れとなった分を「損金処理」することで法人税の課税対象となる金額が下がるため、必ずしも金融機関にとって不利益にならない場合があるのです。
5-2. 換価された分が債権者に支払われる
債務者が自己破産をしても99万円以下の現金や、生活必需品などの財産は残せます。そのほかの財産は、原則として裁判所が選任する破産管財人が没収し、必要に応じて換価されて債権者に支払われます。
借金返済が困難な人に督促するのは債権者にとっても手間がかかりますが、自己破産の手続きが始まれば財産の調査や換価、支払いまでが行われます。
また、複数の債権者がいる場合、債権額に応じて平等に支払われるため、債権者によって不公平が生じない点も価値のあることといえるでしょう。
6. 自己破産以外の選択肢もある
これまで説明したように、自己破産は決して恥ずかしいことではありません。
しかし、価値のある財産を処分する必要がある、職業によって制限を受ける場合があるといったデメリットもあります。
そのため、借金の総額や生活の状況などによっては、自己破産以外の債務整理の手続きを選択する方が、メリットが大きい場合もあります。
次に、自己破産以外の債務整理の手続きである任意整理と個人再生についても説明してみましょう。
6-1. 任意整理
弁護士が貸金業者と直接交渉し、返済条件の変更を求める手続きです。
具体的には、返済期間を延長して毎月の返済額を減らすことや、遅延損害金や借金の完済までに発生する将来利息などのカットを目指して交渉します。
手続きを進める際、過去に払い過ぎていた利息がないかを調べるため、利息制限法の上限金利にもとづく再計算(引き直し計算)を行います。
計算の結果、利息の払い過ぎを確認できた場合、過払い金として回収することができます。
過払い金の回収により借金の総額が減ったり、ゼロになったりする場合があるほか、逆にお金を受け取れる可能性もあるのです。
また、自己破産や個人再生は、借入れがあるすべての金融業者が手続きの対象となりますが、任意整理は手続きの対象を選択することができます。
そのため、自動車ローンは任意整理の対象外にして返済を続けることで、自動車を手元に残すといったことが可能になります。
6-2. 個人再生
個人再生は裁判所に申立てを行い、再生計画の認可を受けることで、借金を大幅に減額し、原則3年(最長5年)の分割払いで返済していく手続きです。
個人再生は、自己破産のように借金の返済が免除されませんが、自宅を手放す必要がありませんし、自動車などの高価な財産を残すことができます。
また、任意整理とは異なりすべての借金が手続きの対象となりますが、任意整理よりも借金を大きく減額できることが期待できます。
7. 自己破産を選ぶ理由と向いている人
借金の返済が困難な状況では、最適な債務整理の手続きを選択することが非常に重要です。
任意整理や個人再生には、自己破産にはないメリットがあるものの、手続き後の返済がきちんとできなければ無意味になってしまいます。
安定した収入がない人や、借金が高額でほかの債務整理を選んでも返済の見込みがない人にとっては、自己破産を選択するメリットが大きいでしょう。
ただし、自分にとって最適な債務整理を選択するには専門的な知識が必要なので、借金問題に詳しい弁護士に相談してください。
借金の総額や収入、資産などの状況に応じて、最適な手続きを提案してくれます。
8. 自己破産をするなら弁護士を味方に
多重債務に陥っている場合や、貸金業者から裁判を起こされているような場合は、これ以上、状況を悪化させないためにも今すぐ弁護士に相談しましょう。
自己破産することを決意している場合も、自分で手続きを進める前に、まずは弁護士に相談し、手続きを依頼することをおすすめします。
自己破産は数多くの資料を集めたり、書類を作成したりするなど、煩雑な手続きが必要で、適切に進めなければ免責が認められないことも考えられます。
弁護士に手続きを依頼すれば、資料の収集や書類の作成だけでなく、裁判所とのやり取りなど、さまざまな手続きを任せることができます。
また、依頼を受けた弁護士は各債権者に受任通知書を郵送し、書類を受け取った債権者は、債務者に直接、督促や取り立ての連絡ができなくなります。
債権者からの連絡を不安に感じる必要がなくなる点も、弁護士に依頼する大きなメリットでしょう。
弁護士法人プロテクトスタンスでは、弁護士への借金問題の相談を無料としております。お困りごとがございましたら、お気軽にご連絡ください。