どこの金融機関を利用したか覚えていませんが、債務整理できますか?
利用した金融機関がわからなくても、弁護士に債務整理の相談をすることは可能です。ただし、借入先が判明している方が、相談は円滑に進みます。
(1)なぜ特定が必要なのか
原則的に、債務整理を行うためには、(過去に)利用した消費者金融、クレジットカード会社、銀行などの金融機関を特定し、借入先がどこであったのかを調べなければなりません。
たとえば、過払い金の返還請求の場合は、返還請求先を特定する必要がありますし、任意整理の場合も、残債務の減額や長期分割払いの交渉を行うため、金融機関を特定する必要があります。
自己破産や個人再生(民事再生)の場合は、原則的にすべての債権者(借入先)に対して債権を届け出るよう通知し、すべての負債額を明らかにする必要があるため、やはり、金融機関を特定する必要があります。
(2)借入先が特定できる資料
しかし、金融機関の中でも貸金業者の場合、経営破綻や吸収合併による統廃合、社名変更、債権譲渡などにより、借入先が分からなくなることがあります。
この場合、次のような書類から借入先が分かることもあります。
- 契約書や申込書
- 請求書や利用明細書
- 領収書やATMでの出金・振込記録
- 通帳の振込や引き落としの記録
- 利用していたカード類
もし記憶が曖昧であったとしても、ご依頼者の申告にもとづき、弁護士が金融機関に照会することは可能です。
ただし、最初に利用し始めた時期(借り入れをし始めた時期)は、大切な情報となりますので、可能な限り、思い出していただければと思います。
(3)信用情報の開示を受ける
信用情報機関に対して、ご自身の信用情報の開示を請求することで、借入先を特定できる可能性もあります。
ただし、借金完済後の過払い金返還請求の場合、完済後5年が経過していると、過去の利用先の情報が削除されている場合もあります。
信用情報機関には、次の3つがあります。
どこの信用情報機関に登録されるかは金融機関によって異なりますので、借入先がわからない場合は、3社に信用情報の開示を請求することになります。
開示請求の方法は、リンク先である各信用情報機関のホームページをご確認ください。
なお、信用情報の開示を請求したからといって、信用情報機関に何か悪い情報(事故情報、いわゆるブラックリスト)が登録されることはありません。
信用情報機関名 | 特徴 |
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①シー・アイ・シー(CIC) | 主にクレジットカード会社が加盟 |
②日本信用情報機構(JICC) | 主に消費者金融が加盟 |
③全国銀行個人信用情報センター(KSC) | 銀行や信用金庫、信用保証協会などが加盟 |