推定計算[すいていけいさん]とは?
債務整理の手続きでは、最初に貸金業者(消費者金融やクレジットカード会社などの信販会社など)から取引履歴の開示を請求します。
そして、開示された取引履歴について利息制限法にもとづく引き直し計算を行い、正しい債務の残高や過払い金の金額を確定させます。
しかし、一部の貸金業者は、保存期間が経過したとして過去の古い取引履歴を破棄したり、開示されない場合があります。
この場合、未開示の部分について、利用者(債務者)の方から取引の経過を再現しなければなりません。
取引の経過を再現するには、あらゆる客観的な資料を使って未開示の時期の取引の経過を合理的に推定することになります。
そして、推定によって再現された計算のことを推定計算とよびます。
推定計算に使用する資料
- 契約書や申込書
- 請求書や利用明細書
- 領収書やATMでの出金・振込記録
- 通帳の引き落とし記録
- 他社の借り入れ状況など
たとえば、A社の平成2年の頃の取引履歴を再現したい場合、平成2年頃の通帳の引き落とし記録からA社の名前が記されていた場合には、A社との取引(貸し付けや返済)があった証拠になります。
また、同じ例で、B社に一度に50万を借りていた記録があれば、この50万はA社の返済のために使った、といったような具合です。
取引履歴を開示しない一部の貸金業者は、消費者金融よりクレジットカード会社などの信販会社である場合がほとんどです。
また、彼らが推定計算によって計算された残債務あるいは過払い金の金額を認めることはほぼ無く、訴訟によって解決していくことになります。
裁判では、ある程度の客観的な資料を示して合理的に行われた推定計算は部分的には認められることが多いです。
逆に、貸金業者からの反論として、取引履歴が開示されたり、貸金業者の方が推定計算を行ってくる場合もあり、これにより手続きが進むこともあります。