- 友達からの借金が返せない
- 家族からも借金があって困っている
- 親戚には迷惑をかけずに借金を返済したい
- 勤務先から借金があるけど、債務整理できるの?
0. はじめに
借金返済に関する相談の中には、親しい友達、家族や親戚、勤務先からの借り入れをどうしたらよいのか、という相談が少なくありません。
返済ができずに友達との人間関係が壊れてしまった方、家族や親戚には迷惑をかけたくないので債務整理に踏み切れない方、債務整理をすると会社からの借金がどうなるのか、など事情はさまざまです。
これらの場合、消費者金融やクレジットカード会社、銀行などからの借金を債務整理するのと何が異なるのか、債務整理をするとどのような影響が出るのか、わかりやすく解説していきましょう。
1. 借金を整理する方法とは
借金を整理する方法を「債務整理」と呼びます。そして、債務整理には、主に任意整理、自己破産、個人再生(民事再生)という方法があります。
任意整理は、裁判所を通さない手続きです。利息や遅延損害金などをカットした元本のみを長期分割払いとする交渉を債権者と行います。
これにより、借金の総額や毎月の返済額を減額し、借金返済の負担を減らします。
自己破産は、借金返済の見込みがなく支払不能状態にあることを裁判所に認めてもらい、借金の返済義務を免除してもらう手続きです。
原則的に、借金がゼロになります(養育費など支払義務が残るものもあります)。
個人再生は、借金の残額を 1/5 ~ 1/10 程度に減額することを裁判所に認めてもらい、原則3年(最長5年)かけて、返済していく手続きです。
(1)任意整理の場合
任意整理の最大の特徴は、対象となる債権者(借入先)を選ぶことができるという点です。
そのため、消費者金融やクレジットカード会社、銀行などの金融機関からの借金は債務整理を行って返済の負担を軽くし、友達、家族、親戚、勤務先からの借金については債務整理を行なわずに返済し続けるという選択ができます。
これにより、家族や勤務先には、債務整理をするほどに借金があったということも知られずに済みます。
もちろん、友達や家族を相手に任意整理を行い、借金減額や長期分割払いなどを求める交渉をすることはできます。
ただし、任意整理は相手との交渉次第になりますので、相手が応じるかはまた別問題です。
善意でお金を貸してくれた相手に対して、自分の都合で借金の返済が困難になったからと説明しても、相手が任意整理に応じることは稀です。
その場合は、相手の同意が必要ない個人再生や自己破産を選択することになります。
(2)自己破産・個人再生の場合
債務整理の手続きの中でも、個人再生や自己破産は、裁判所を利用した法的整理の手続きです。
そのため、貸金業者などの金融機関以外の個人の債権者も公平にすべて取り扱わなければならず、一部の債権者に対して不公平な対応をすることはできません(債権者平等の原則)。
具体的には、「カードローンのA社の借金は裁判所に届け出るけど、恋人のBからの借金は届け出ないで返済を続けよう」ということはできません。
どこからいくら借りているのか、すべての借金の存在を債権者一覧表にして裁判所に届け出なければならないのです。
そのため、勤務先の会社であっても他の金融機関と同様の債権者として扱われるため、弁護士や裁判所から会社に通知が発送されます。
会社には、債務整理をするほどに借金があることが発覚してしまいます。
もしも、勤務先からの借金の存在を隠し、会社名と負債額を債権者一覧表に記載しなかったり、友達への返済だけを継続したりしたまま、自己破産や個人再生の手続きを進めるとどうなるでしょうか。
自己破産の場合、「虚偽の債権者名簿の提出」や「偏頗弁済(へんぱべんさい)」という違法行為に該当しますので、免責不許可になる場合があります。
免責が不許可になれば、裁判所から自宅や自動車など一定額以上の財産を強制的に処分されたにもかかわらず、借金の返済義務は残ってしまうことになります。
また、個人再生の場合は、再生計画が不認可となる可能性があります。
仮に、再生計画が認可された場合でも、最低弁済額が上がってしまったり、隠していた債権が劣後債権として扱われ、再生計画が終了するまでは返済できないものになります。
良かれと思ってやったことが、さらに迷惑をかけてしまうことになってしまうのです。
なお、自己破産や個人再生の手続きでは、給与明細書などを裁判所に提出する必要があります。
特に、勤務先からの借り入れの場合、給料明細に勤務先への返済金が天引きされていることが記録されているのが通常ですので、隠していても発覚してしまうことになります。
以上のように、自己破産や個人再生では、一部の借金の存在を隠したり、特定の相手にだけ返済を継続するのは絶対に止めましょう。
行為が悪質な場合は、刑事罰の対象にもなりかねません。
2. 債務整理後であれば返済は可能
これまで説明した、任意整理・自己破産・個人再生の手続きは、借金の返済義務を、法律上、減額したり免除したりしているに過ぎません。
債務整理が終わった後であれば、法的に返済義務がなくなったとしても、自発的に友達や家族などに借金を返済することは自由に行うことができます。
そのため、債権者である友達や家族などに対しては、金融機関からの借金問題が解決すれば、必ず返済することを誠心誠意伝えれば、債務整理への理解が得られるかもしれません。
善意でお金を貸してくれて、自分の苦境を救ってくれた相手に対しては、返済の有無を問わず、誠実な対応を行うことが何よりも大切です。
3. 督促・取立はストップしないことも
弁護士が債務整理を行った場合、銀行、消費者金融、クレジットカード会社、債権回収会社などは、債務者(あなた)に直接連絡を取ったり、督促・取立を行うことが法律により禁止されています。
しかし、個人間での債務整理については禁止されていませんので、弁護士が代理人となった後も、直接連絡を取ってきたり、督促・取立が止まらない可能性があります(もちろん、一般的には弁護士から連絡があれば、話し合いに応じてくれるケースがほとんどです)。
4. まとめ
貸金業者などの金融機関とは異なり、友人や家族など個人間での債務整理は、人間関係を壊してしまう危険性があります。
当人同士の話し合いで解決しようにも、当事者であるからこそ感情的になり、逆にトラブルが悪化してしまうこともあります。
この点、第三者であり、交渉の専門家である弁護士が間に入れば、返済に関する話し合いがスムーズにまとまるかもしれません。
家族や友人など個人間の借金で困っている方も、ぜひ弁護士法人プロテクトスタンスにご相談ください。
きっと、良い解決方法が見つかります。