- ヤミ金からお金を借りてしまった。
- ヤミ金の返済がなかなか終わらない
- ヤミ金からの取り立てが厳しくて困っている
- ヤミ金から家族や職場に取り立ての連絡が来てしまった
1. ヤミ金(闇金)とは
ヤミ金(闇金)とは、出資法の上限金利年利20%をはるかに超える高い利息で貸し付けを行う違法金融業者であり、そのほとんどは貸金業登録をしていません。
また、消費者金融のような店舗を持たず、顧客とのやり取りも固定電話ではなく、携帯電話を使用したり、振込先も個人名義の口座を利用しているという特徴があります。
2. ヤミ金の特徴
ヤミ金の大きな特徴として、利息が違法な超高金利であるのみならず、督促や取立が非常に厳しい点もあげられます。
ヤミ金が指定した返済日から一日でも遅れると、容赦のない督促をしてきます。
また、本人だけでなく、借り入れをした際に教えた保証人や家族、友人、職場にも強硬な取立行為を行ってきます。
最近では、「ソフト闇金」という利用者に優しく接して利息を取り続けるヤミ金も増加傾向にあり、通常の金融業者と区別がつき難い場合もあります。
しかし、法定利息を超えた金利で貸し付けをしていれば、ヤミ金であることに変わりはありません。
下記のような点に思いあたることがあれば、それはヤミ金からの借り入れかもしれません。
- やり取りが携帯電話のみで、固定電話番号を教えない
- 会社名を言わない
- 貸金業者登録の番号を言わない
- 振込先口座の名義人が個人名である
- 振込先口座や連絡してくる携帯電話の番号が頻繁に変わる
- 利率や現在の借入残高など契約の詳細を聞いても、教えてくれない
- 月に何度も返済を迫られる
- 返済しても入金の確認ができないと、再び返済を強要される
- 勝手に口座にお金が振り込まれ、後日高額な利息が請求される
- 家族や職場に督促・取立すると脅される
3. ヤミ金の代表的な手口
ヤミ金の手口は常に巧妙化し続けており、一見すると、ヤミ金とは分からない場合も少なくありません。
脅迫的な取立てを受けて、はじめてヤミ金であったと気付くケースもあります。そこで、代表的なヤミ金の手口について見ていきましょう。
①090金融
最も典型的なヤミ金の代表例です。債務者とのやり取りに携帯電話を使うことからこの名前がつきました。ダイレクトメールやチラシ、電柱にビラなどに「ブラックでもOK」「破産者でもOK」と甘い文句で、顧客の勧誘を行います。
多くの090金融は、他人名義の携帯電話や銀行口座を利用するため、実態を把握することは困難です。
②給料のファクタリング
コロナ禍により、最近急増しているヤミ金の手口です。サラリーマンが支払いの予定されている給与の一部を、ヤミ金に譲渡する契約を結び、手数料を差し引いた現金を受け取ります。そして、給料日以降に譲渡契約で約束した給料を支払う仕組みです。この手数料が違法な高金利となっているのです。
③年金担保融資
ヤミ金が「老後の生活をサポート」とか「70歳以上でもOK」などと言葉巧みに高齢者を勧誘し、年金を担保に違法な高金利を貸し付けます。そして、お年寄りから年金証書や通帳、印鑑を取り上げ、年金を奪い続けます。
なお、年金を担保に融資することは法律で禁止されています(違法年金担保融資対策法)。
④自動車金融
「車に乗ったまま、融資OK」との宣伝文句で、スポーツ新聞や電柱などにビラを張り付けている金融業者がこれにあたります。
この業者の特徴は、金銭を貸し付ける際に、債務者が所有する自動車を担保にとります。貸付金額よりはるかに価値の高い自動車を担保に取ることもあります。
そして、高金利で返済を迫り、返済が滞ると自動車を引き上げて転売する手口でお金の貸付を行います。
⑤システム金融
システム金融は、零細・中小企業を対象に、小切手や手形などを担保にし、事業資金の貸付を行います。小切手や手形の不渡りを恐れる債務者は、請求されるがまま高金利の返済をせざるを得ません。
また、システム金融の特徴として、一度利用をしてしまうと、同業者間で情報が伝わってしまい、様々な業者から勧誘を受けることがあります。
そして、返済の工面のために、複数のシステム金融から小切手や手形を担保にした借入れをしてしまい、多重債務者に陥ることもあります。
⑥押し貸し
以前にヤミ金を利用していた場合など、口座の情報が漏洩している場合、ヤミ金が勝手に口座にお金を振り込み、後日、法外な利息をつけて請求を迫ります。
4. 相手がヤミ金と分かった場合、どうすればよいのか?
ヤミ金からの借り入れは、利率自体が法律に違反した超高金利です。借り入れ自体が無効となり、利息だけではなく元金も含めて1円も返済する義務がありません(最高裁判所平成20年6月10日判決)。
しかし、ヤミ金は、1日でも返済日が遅れると、威圧的・脅迫的な取立行為に変貌します。
そのため、ヤミ金に対しては毅然とした態度を取り、ヤミ金からの如何なる要求にも応じないという強い意思を見せることが大事です。
(1)ヤミ金からの連絡には応じない
ヤミ金とのやり取りは携帯電話やLINEで行う場合がほとんどです。ヤミ金がわざわざ自宅まで押しかけてくることはほとんどありません。
ヤミ金からと思われる電話やLINEには一切出てはいけません。徹底的に無視をして、接点を持たないようにすることが大切です。
(2)ヤミ金に返済せず、毅然とした対応を取る
ヤミ金は弱みを少しでも見せると、弱みにつけこみ様々な要求をしてきます。
ヤミ金に対しては、利息はもちろん、借りたお金である元金すら返済する必要はありません。
ヤミ金からの威圧的・脅迫的な行為や嫌がらせに屈することなく、「1円も支払わない」という毅然とした対応を取り続けることが大事です。
(3)ヤミ金にむやみやたらに情報を与えない
ヤミ金は、様々な手段を使い、接触を試みたり、勤務先や家族、親戚の状況や連絡先を聞き出そうとします。
ヤミ金に情報が知られてしまうと、それらの人たちにも威圧的・暴力的な取立行為を行います。
ヤミ金に対しては、返済をしないだけではなく、様々な情報を与えないように細心の注意を払うことが大切です。
5. ヤミ金対応を弁護士に依頼すると
(1)督促・取立がストップする
ヤミ金被害の一番の悩みは、ヤミ金からの厳しい督促・取立行為です。依頼を受けた弁護士はヤミ金に対して、「依頼人の債務整理を受任したこと」「依頼人への以後の取り立てを止めること」を厳しく命じます。
ほとんどのヤミ金は、弁護士から受任の連絡を受けただけで、取立行為をすぐに止めます。
なぜなら、厳しい取立行為を続けて、被害届を警察に提出されたり、預貯金口座や携帯電話の凍結手続きを行われると、ヤミ金にとっても、様々なリスクが発生するからです。
(2)借金の返済義務がなくなる
ヤミ金から借り入れた借金は、違法な高金利であるため、貸し付ける行為そのものが法律上無効となります。
そのため、借りたお金そのもの(元本)も利息も一切返済する必要はありません。
最高裁判例でも、元本を含めて1円の返済義務もないことが認められています。
(3)返済したお金の返還交渉を行う
ヤミ金に対して返済したお金は、元本や利息などを含めて全額を返還請求することができます。弁護士は取立行為の禁止のみならず、この返還交渉も行います。
ただし、ヤミ金は携帯電話のみで営業したり、実態や所在が不明なことも多いため、返還交渉は極めて困難です。そのため、警察への被害届の提出や裁判所への法的措置を取ることもあります。
また、振り込め詐欺救済法(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配配当金の支払等に関する法律)は、ヤミ金にも適用されますので、分配金の配当を受けられる場合もあります。
このように、自分一人でヤミ金と対応し、自力で解決することは非常に困難です。さまざまな嫌がらせが発生し、被害が拡大する前に、一刻も早く弁護士に相談するようにしましょう。