借金返済・債務整理に関する用語集

証書貸付[しょうしょかしつけ]とは?

銀行や消費者金融などからお金を借り入れる際に、金銭消費貸借契約書を取り交わし、それにもとづき返済のみがなされる借入方法のことです。
わかりやすく説明すると、1回の借り入れごとに契約書を作成し、契約書に記載された金額を返済する方式です。

一般的に、自動車ローンやおまとめローン、住宅ローンや不動産担保ローンなどのように長期的な融資を受ける場合によく使われます。金融業界では略して、証貸(しょうがし)とも呼ばれます。

そして、証書貸付もカードローン、クレジットカードのキャッシングやショッピングと同じように債務整理の対象となります。

(1)証書貸付の審査

証書貸付は、個人の借り入れのみならず、会社や個人事業主が事業資金として資金調達する場合にもよく使われます。
貸付期間が長期にわたりますので、長期間にわたって返済能力があるかどうか、審査基準は厳しく設定されています。

金融機関としては貸し倒れリスクを回避するため、債務者の事業規模、借入状況、資産や収支、経営状況などを、BS(貸借対照表)やPL(損益計算書)、直近の決算報告書などを手掛かりに、さまざまな項目をチェックします。

(2)証書貸付のメリットとデメリット

上述した通り、証書貸付は長期の融資や高額な融資を受けられるというメリットがあります。また、毎月の返済プランが立てやすいため、計画的な資金繰りを行いやすいものです。

しかし、審査が厳しいため、融資実行まで時間がかかるというデメリットがあります。また、一度契約を交わしたら、そう何度も融資を受けられるわけではありません。

(3)証書貸付の返済方法

返済においては、元利均等返済または元金均等返済の方式になるのが一般的です。元利均等返済とは、毎月の返済額(元金+利息)が一定となる返済方法です。元金均等返済とは、毎月の返済額のうち、元金の額だけが一定となる返済方法です。元利均等返済と比較すると、元金の減少が早いため、借り入れ期間が同じ場合、返済総額は少なくなります。

[元金均等返済方式の場合]
たとえば、1,000万円を5年間で返済する場合、
1か月の元金返済額=1,000万円÷60か月(5年)=166,666円
1か月の返済額=166,666円+利息

ただし、返済方法には、分割払いの返済期限までは毎月利息だけを支払い、最終期限時に一括して残元金を返済するテイルヘビー(テールヘビー)の方式が利用される場合もあります。

(4)証書貸付の注意点

証書貸付により融資を受ける場合には、金銭消費貸借契約書の内容を細かく確認してください。契約書に署名押印した後では変更ができないため、十二分に確認する必要があります。

具体的には、契約日、借入金額、返済方法、返済期間、利率、遅延損害金、(連帯)保証人など担保の有無、その他の特約条項などをチェックし、自分にとって不利な条件や説明されていない条件などがないか、不明な点をあらかじめ解消しておくことが重要です。

なお、証書貸付において、借り入れ時に公正証書を作成されている場合には、債務整理に応じてもらえず、すぐに給与や預貯金などの財産が差し押さえられ、強制執行される場合がありますので、注意が必要です。

(5)証書貸付と過払い金の請求

過払い金の請求において、「取引の分断(とりひきのぶんだん)」という点が問題になることがあります。
取引の分断は、消費者金融などの貸金業者との間の借入と返済(取引)において、一度完済した後に再びお金を借り入れた場合に発生します。

この場合、完済前の取引と完済後の取引を通算して過払い金の計算ができることを「一連計算(いちれんけいさん)」と呼び、完済前の取引と完済後の取引を別々のものとして過払い金の計算をすることを取引の分断による「個別計算(こべつけいさん)」と呼びます。

なぜ、この点が問題になるのかというと、取引が分断すると、過払い金の発生金額が減少してしまうこと、また、完済前の取引により生じた過払い金が、完済後の取引により生じた過払い金とは別に、時効により消滅してしまうからです。

証書貸付は、リボルビング方式などのような基本契約が存在せず、契約時に一定額の金銭を借り入れ、後は約定にしたがって返済だけが行われます。
そのため、いったん完済した後に再び借り入れる場合は、新たな金銭消費貸借契約書を取り交わすことになりますので、完済前の取引と完済後の取引とでは、取引が分断されるのが原則です(平成19年2月13日最高裁判所第三小法廷判決)。

ただし、証書貸付であっても、返済の途中に借り換えや貸し増しが想定されており、証書貸付が繰り返されたような場合には、一連計算が認められることもあります(平成19年7月19日最高裁判所第一小法廷判決)。

(6)証書貸付以外の借入方法

最後に、会社や個人事業主が運転資金などの事業資金を借り入れる場合、証書貸付以外の代表的な借入方法について、簡単に説明しておきます。

①手形貸付
証書貸付のような金銭消費貸借契約ではなく、約束手形を銀行に振り出して、手形に記載された金額と同等の金額の融資を受ける方法です。
手形貸付においては、原則的に担保を設定せず、返済期間が1年以内と短期間の融資を受ける場合に用いられます。

しかし、手形貸付は資金ショートを起こしそうな場合、事業継続のために融資を受ける場合に用いられるような手段です。もちろん、返済が滞った場合には手形が不渡りとなりますので、経済的な信用度が失墜し、倒産するリスクがあります。

②手形割引
(自社ではなく他社が振り出した)約束手形を、支払期日の到来前に買い取ってもらう形式で融資を受ける方法です。早期に換金できる分、手形の額面金額(券面額)から期日までの割引料が手数料として差し引かれますので、受取金額は下がってしまいます。

③当座貸越
口座残高が不足した場合に、定期預金を担保として、あらかじめ設定された借入限度額までの金額を借り入れることができるサービスです。
使い勝手の良い借入金ですが、借入限度額は定期預金の残高や返済能力などをもとに決まりますし、当座貸越を設定するには金融機関による厳しい審査が必要です。

(7)資金繰りに悩んだら弁護士に相談

証書貸付による返済に悩んだら、また、会社の資金繰りに困ったら、1人で悩まず、債務整理に強い弁護士に相談してください。

弁護士法人プロテクトスタンスでは、個人の債務整理のみならず、会社の民事再生や自己破産の相談も多数承っております。弁護士とのご相談は何度でも無料ですので、お早めにご連絡ください。

なお、弁護士とのご相談時には、証書貸付の契約書もお持ちいただくとご相談がスムーズに進みます。


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